面白かった小説①「アルジャーノンに花束を」
有名な作品である。
「アルジャーノンに花束を」作者:ダニエル・キイス
1959年のアメリカの小説。私が読んだのは高校生の時なので、
およそ10年前。それでも現代でも色あせない作品だ。
当時、日本の作家さんの小説メインに読んでいたので、逆に新鮮な小説だった。
日本人作家の小説と比べると、海外の小説は翻訳のくせもあって説明口調な文章になりがちなイメージだった。この小説は、そんな海外原作の小説の中でも実験的な小説で、うまれつき知能が低いチャーリー・ゴードンの手記で全編話が進んでいく。
もともとの英語の原文もつづりや文法を間違っているように書いていたんだろう、日本語翻訳でも文章は間違えだらけで、読みにくい日本語で話が進んでいく。
チャーリーは生まれつき知的障害を持ち、施設に通い、パン屋で働きながら暮らしている若者だ。
施設のみんなは優しく接してくれるし、パン屋の同僚に馬鹿にされても気が付かない。そんななか、生まれつき低い知能を向上させる手術が確立される。
知能を向上させるマウス実験はすでに成功しており、人間の被験者としてチャーリーに手術を受けないか施設の先生から打診がくる。
みんなと少し違うことを感じていたチャーリーは手術を受け、見事成功。その後みるみるうちに知能が向上し、周りを驚かせていくが・・・
知能が良くなるにつれてチャーリーの言葉をもとにした本文は読みやすくなっていき、ストーリーの中でのチャーリーをみる周りの目も、チャーリーの立場もみるみる変わっていく。そのうちチャーリーは、周りよりも知能が高くなり、人生で初めて感じる孤独や、不相応な幼いままの感情に悩まされていく。
頭が悪いチャーリーが頭が良くなることで問題は解決されるだけではなく、むしろ思い悩んでいく皮肉がきいてて、読んでていろいろ考えさせられる話だった。
哲学的な要素や人間模様も描写されており、最後にはほろりとくる。
今でも大好きな小説のひとつなので、ぜひおすすめしたい。