そーたのにっき

おもったことなど

面白かった小説②「白夜行」

東野圭吾作品で特に好きな本は、「秘密」と「白夜行」である。

 

「秘密」はファンタジーでドラマ的な内容なので、東野圭吾ミステリーでいえば「白夜行」が一番だ。「流星の絆」も面白いんだけどね。「容疑者X」は映画が良すぎて原作をまだ読んでない。そのうち読みたいと思っている。

 

この本の面白いところは、主要人物ふたりの男女の話がメインのストーリーなのに、ふたりの視点からは何も語られず、ふたりに関わった周りの登場人物の視点で少しずつ話が進んでいくところである。

 

過去に起きた殺人事件と、そのふたりは確実に関係しているはずなのに、殺人動機やふたり同士の接点が見つけられない。性格、境遇が正反対のふたりがストーリーの中で直接接触している場面もない。ふたりに関わった人たちは、つぎつぎと不幸なことが身の回りで起こり始める。未解決のその殺人事件を担当した刑事は、刑事の勘で当時幼かったふたりに何か違和感を感じたまま、数年をかけて引き続き捜査を行っていくが。。。

 

過去の事件の話を基盤として、ふたりの身の回りで起こる出来事が周りの人の視点で描写され、そして終盤にむけて各出来事が線で結ばれ、事件の真相も併せて明らかになっていく展開がすごい爽快である。

 

東野圭吾の文庫本が並んでいるコーナーの中でも目を引くくらい分厚いんだけど、読み始めたらすらすら読める。当時中学生の私でも読み切れたくらいだ。

 

男が軽犯罪を犯し続け、怪しい社会に踏み入れていく”影”として描写される中で、女が煌びやかで幸せな社会生活を手に入れていく”光”となる対比も、みごと後半でうまく味をだしている。読後感が満足できる一冊なのでおすすめしたい。